ケイ "二月のつぎに七月が" 2026年9月11日

ケイ
ケイ
@flyingkei
2026年9月11日
二月のつぎに七月が
190〜252ページ 夜の工場で、ひそかな音を立てながら殻を弾かせ発芽するもやし。遠い雨の日の、「恋愛のほのかな模倣」の記憶。発芽しなかったと思っている阿見さんの恋心はきっと、その雨の日に実際には殻を弾かせ発芽していたのではないか。ひそかな音が雨音の中に消えてしまっていたとしても。 父親と息子の重なる面影。時代を異にする同窓生同士の間で話題になる同じ教師の逸話。人生も歴史も円環を描き、いつの日か中心の穴に吸い込まれ消えていくとしても、ひとり巡らす思考も他者と手渡し合うことばも、回りながら泡のように心をちりちりと刺激し続ける。同じ場所で回り続けているようで、次第にじょうごの先へ近づいてゆく老いの道のり。暗く狭くなっていくものかもしれないその道のりだからこそ、開いた本から、眺めた景色から、多くの泡が記憶の中から沸き立ち、彼我の境を曖昧にしてゆく。
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