ユメ "八月の御所グラウンド" 2026年8月20日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年8月20日
八月の御所グラウンド
京都の街を舞台に不思議な出来事が起こるというストーリーは万城目学さんらしいが、例えば『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』といった過去の作品とは毛色が異なる。 主人公たちがパスタやケーキを食べに入る「セカンドハウス」は、私も京都ですごした大学時代に訪れたことがあり(彼らとは別店舗なのだけれど)、懐かしいな——などと呑気なことを考えながら読み進めていたら、がつんと殴られたような衝撃を受けた。 沢村栄治が第二次世界大戦時に徴兵され、軍で手榴弾を投げさせられたせいで肩を壊したこと、いちどはプロ野球に復帰するも二度目の徴兵で戦没したことは知っていたのだが、改めて物語を通してその事実を突きつけられると、あまりの惨さに言葉を失う。どれほど野球がしたかったことだろうか。 我が国は二度と戦争を繰り返してはならないと強く思わされたし、今も身勝手な指導者たちによって世界各地で争いが起きていることを深く憂う。 本を閉じたあと、好きなアイドルの新曲を聴いていたら、「きっと私の明日は素晴らしい」という歌詞に涙が出そうになった。戦火によって奪われた、無数の「明日」があった。平和な時代に生まれることができた私は、「明日」が少しでもよいものになるよう、懸命に生きていかねばならない。 送り火の日はすぎてしまったが、8月にこの本を読むことができてよかった。
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