
クジラ
@need_a_nap
2026年9月12日
カフネ
阿部暁子
人は人を自分のものさしでしか見れない。家族だからこそ、勝手な色眼鏡をかけてしまう。
関係に名前(家族など)がついていると、かえって本音を話せない寂しさや悔しさ。それは相手も自分も縛ってしまうという、ある種の恐怖にも通じている。偶然見ていたドラマ「Tシャツが乾くまで」とも重なり、主人公と別れた夫が本音を語り合う場面では感情が激しく揺さぶられた。
だからこそ、ストーリー展開には疑問が残る。各家庭の抱える問題、BL、大病、他人との養子縁組といった、それ単体で一編の小説になるような強い要素が次々と投入され、メインテーマの引力が散漫になってしまっている印象。結果として、現実味が薄れ、どれも「テーマだけをかっさらっていった」ような、浅い消化不良感を抱いてしまった。主題が極めて魅力的だっただけに、このページ数に多要素を詰め込んでいることが、ただただ惜しいと感じる一冊だった。

