
イツキ
@maruitsuki
2026年9月13日
ラウリ・クースクを探して
宮内悠介
読み終わった
読後に最も強く残ったのは、静かな感動だった。
ラウリは歴史を変える英雄ではない。むしろ歴史によって何度も居場所を失い、立ち止まり、自分を責め、それでも少しずつ自分の人生へ戻っていく人だった。
数字やプログラムという「かりそめでない世界」に居場所を見つけ、そこでイヴァンと出会う。しかし歴史はその居場所を引き裂く。それでも最後には、失った友人たちとの関係が完全に消えてはいなかったことがわかる。
そして、歴史にとって意味がないかもしれない一人の人生を、親友が書き残す。
特別ではない。だからこそ書く。
でも、誰か一人にとっては、どうしようもなく特別だった。
そのことを描いた物語として、心に残った。
また、読了後に解説を読むことで、ラウリの人生を追いながら同時にエストニア現代史を体験していたことに気づいた。エストニアという国について、知識だけでなく「人間がそこで生きる感覚」の解像度が上がった一冊だった。


