
semi
@hirakegoma
2025年4月22日

あきらめる
山崎ナオコーラ
読み終わった
ジェンダーなどに対する作者の主張が幾度となく顔を出してきて、最初は小説の世界に入り込みにくい感覚がありました。ただこれはエッセイ的な小説なのだと思って、たびたび説明される社会問題にふんふんと頷きながら読み進めました。
登場人物が何人かいて、それぞれ親子、社会的評価、性的マイノリティ、病気、こどもの発達、ネグレクトなど、生きづらさを抱えています。それなりにみんな重い問題だと思いますが、文体の特徴なのかドロドロせずサラッとした印象で読みやすいです。物語の主張は強いけど、キャラや文体が爽やかなのでうまく中和している感じがします。
登場人物は皆「あきらめる」ことで、新しい一歩を踏み出しています。その生き方は登山に象徴されますが、頂上を目指すことだけでなく、下山することも含めて、前に踏み出すことだと訴えかけられているように感じました。いま下山中、もしくは下山が頭によぎった人には共感できる部分も多いのかもしれません。