
shiori
@shiori_417
2026年9月13日
読み終わった
“生きるとは、「ありたい自分を選ぶこと」だ。”(p.201)
2017年に多発性骨髄腫(難治性のがん)を発症した幡野さん。この本では、幡野さん自身の体験や、幡野さんが取材した方々のエピソードを通して、生きること、死ぬことを考える。
そして冒頭の一言が強いメッセージとして立ち上がってくるのだけれど、そこに至るまでの道のりはぜひ本文を読んでいただきたい。
先日『ほんとうのことを書く練習』(土門蘭)を読んでいたとき、“「ほんとうのこと」を書いた文章”という一文が出てきて、そのとき私の頭に思い浮かんだうちのひとつが幡野さんの文章だった。
治らない病を宣告され、近い将来父や夫を亡くして遺される息子さん・奥さんへのラブレターのように書かれる文章には、自身を良く見せようとか飾ろうとかの意図がなく、率直さと心の芯から出た言葉の強さがあって、まさに「ほんとうのこと」という感じがある。
以前から幡野さんの文章を読むと、静かな雰囲気の中に力強い気持ちが湧いてくるなって感じていたんだけど、この感触もここから来ているのかなと思う。
個人的に心に残ったのは「直系家族」の話。
NASAが宇宙飛行士の「直系家族」として扱うのは、
①配偶者
②子ども
③子どもの配偶者
だそうだ。
とことん、自身の選択、および自身の選択の先に生まれた人間関係を、最も近い家族と定義している。
“ 親が、ろくでもないわが子に見切りをつけることは、正しいこととして語られる。
「そんな子どもなんて、追い出してしまえ」とか「甘やかすな、いっそ勘当してしまえ」といったアドバイスが、いろんなところで語られる。
一方、子がろくでもない親を切ることは、親不孝だとされてしまう。どうしてこちら側からの勘当がありえないのか、ちゃんと教えてくれる人はほとんどいない。
多くの子どもは、親を甘やかしすぎている。親不孝をしないためにーー親を悲しませないためにーー自分が不幸になっているようでは、誰のために、誰の人生を生きているのか、まったくわからない。
優先順位を間違ってはいけない。ぼくらはみんな、自分の人生を生きるために生まれてきたのだ。”(p.143)
もちろん、良好な親子関係を築けているご家庭もたくさんあると思う。
でも、一見平和に見える家庭の中でも、実は子どもの内側では傷つきが起きていることもある。
(私も、自分でも気づかないうちに無数の小さな傷を心に負っていて、それが大人になってからの生きづらさに繋がっていたことに最近気付いた)
そういうとき、「でも育ててもらった恩があるから」と、自分の傷をなかったことにする必要はないし、
自分の人生を生きるために、自分自身の家族を選び直すことができる、そうしていいのだと、幡野さんは強く背中を押してくれる。
またひとつ、「ほんとうのこと」が書かれた本と出会えたなと思う。
