
やん
@grilledyangyang
2023年7月17日

読み終わった
かつて読んだ
自分の享楽のみを追求する主人公がクズofクズ。
ゲスさに腹が立つ反面、修羅場を口八丁で次々と切り抜けていく姿はいっそ清々しい。
開幕からのクズっぷりで主人公を落として、人助けでちょっと株を上げ、最後には自分が蔑んでいた「偽善者」そのものに成る、カタルシスと虚無が同居するラストだった。
女を征服する野心をゲームのように楽しむドン・ジュアンを見ていると、これは個人の話であると同時に、当時のヨーロッパ社会の縮図なのでは?利のためならゲスいことを何でもやり、上手くいかないとなればちゃぶ台返しの暴力(←マジゴミ)
さらに面白いのが、宗教と人道のねじれ。
宗教が担うべき貧者救済は教会によってなされず、無神論者が代わりに施しをする。信心深さと人道を語る従者は、主人におべっかばかり。
最終的に主人公自身が、まるで神の代弁者であるかのように振る舞う姿は、教会と絶対王政への批判とも取れる。
貴族、修道院、教会といった旧体制批判と、神や権力から独立する個人を痛烈に描く本作は、後世から見れば近代的として評価されるだろう。
ただし、そこで解放された「個人」の代表がドン・ジュアンなのが面白い。自由になったからといって、人間が善人になるとは限らないのだから。
これが啓蒙主義の先駆けというなら、フランス革命もああならぁな、という感想。