
tsubaki_fuyunohana
@tsubaki_2025
2026年9月5日
トピーカ・スクール
ベン・ラーナー,
川野太郎
あらすじすら読まず読み始めた。どんな話かわからない、主人公が章によってかわり、時代もかわる。何が起きているのか掴めないまま進み、母ジェーンの挿話のあたりでようやく認識ができてくる。
ただ、話はわからなくてもとにかく描写がうまいので感心したり驚嘆したりしながら読み進める。
例えば競技ディベートのシーン、審査員へのアピールの描写、あまりにうまい。また他のシーンとなるが、主人公がディベートからラップへと関心を移すシーン。
喧嘩をした相手の母親とスーパーで遭遇するシーンなどは爆笑してしまった。言葉の切れ味がよすぎる。
後から知ったが、作者は詩人でもあるとのこと。詩人が書く小説はやはり言葉が選び抜かれているのだな。訳者の方のお仕事がいかに優れているか、ということでもあると思う。
後半にかけてストーリー展開に追いついていく。そして迎える最終章。現代に接続する。ようやく主題を理解する。そうか、この選択を描きたかったのか!緊迫と感動が押し寄せてくる。最後の文章を読み終えて、自分が深い感動の底にいることに気づく。
そこから数日間、その感動は続いた。この読後感は、アリ・スミス『両方になる』の読後感によく似ている。
マクロな時代と、私のミクロな人生と、両方が重なる読書だった。
今、この本を読めてよかった。

