semi "中動態の世界" 2025年5月20日

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@hirakegoma
2025年5月20日
中動態の世界
中動態の世界
國分功一郎
タイトルに前々から惹かれていた。文庫版が出たことを知って購入。 出だしの対話を読み、依存症について語られるんだ!と期待しながら読んでいくと、ひたすら古代ギリシア語やラテン語の文法について述べられる…読んでいても文字が横すべりして中身がスッと入っては来なかった。ギリシア語もラテン語もほぼ読めないし… ただ構成としては、細かく区切られていて、章ごとにおさらいしてくれる親切設計なので、何とか耐えながら読み進められた。 個人的には本編よりもラストに収録された文庫版補遺に魅力を感じる。本編で述べられた抽象的な議論が、具体的に像を結ぶ感じ。 当事者研究を免責が引責を可能にするプロセスとしてとらえ、「行為のコミュニズム」として明らかにした点は、印象深い。 依存症や精神病のとき、もしくは日常生活でも、つらい状況の中で自身の行為がうまくいかなかったとき、猛烈に落ち込んで負のループから抜けられなくなる。そんな時に、行為のコミュニズムの視点に立てば、一旦自分の状況(存在)を認めることができて、同時に責任を感じることができる可能性がある(免責から引責)。負のループに陥らず、自分を認めつつ本当の意味で責任を認識することができる気がした。
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