
みくら
@mikura727
2025年4月6日

ライオンのおやつ
小川糸
読み終わった
30代半ばで余命宣告を受けた主人公・雫が最期の地に選んだのは、瀬戸内海の小さな島に建つ一軒のホスピス。そこに集うさまざまな人々の死と、彼らを見送る島民たちを描く。
死をただ安らぎと受け入れることなんて到底できなくて、宣告を受けたあと死の恐怖と理不尽に怯え、家の中のぬいぐるみたちに八つ当たりする夜のシーンがとても胸に迫る。
そんな雫のような患者を看取り続けてきたホスピスのオーナー・マドンナの、「死は最上のオーガズムかもしれません」という囁きもいいですね。
死の匂いがどんどん強くなっていく雫に最後まで寄り添い続ける犬の六花、淡い想いを通じ合わせたタヒチくん、そして最後に会うことができた妹・梢。死を避けることはできないけれど、終わり方は自分の意思で変えられる。最後まで変わろうと足掻くことはできる。
わかりきっていたのにラストはやっぱり悲しくて、でも優しくて希望に満ちた人間讃歌に思えました。
