
ユメ
@yume_bookworm
2026年8月29日
ともだちは海のにおい
工藤直子,
長新太
読み終わった
感想
再読
子どもの頃から、いるかとくじらの優しい友情が大好きな物語。
今回、久々に再読して、冒頭の「海の はじまり」という詩に感銘を受けた。この詩は「ひとはみな 心のなかに 海をひとつ もっている」と始まる。ひとが流す涙がいつしか海となり、そこで泳ぐものたちが育つのだという内容だ。
つまり、このいるかとくじらの温かな物語は、私たち読者ひとりひとりの心の中で起こっている出来事なのだと捉えることもできる。やさしい目をしたくじらと、きりりとした口のいるか、この二人が私の心の中の海で仲よく泳いでいるのだと思うと、悲しいときに流す涙にも意味があるのだという気がして勇気付けられる。
活発ないるかと穏やかなくじらは、性格も好きなものも全然違うけれど、不思議なぐらい波長が合っているように見受けられる。それはきっと、二人とも思いやりの心が深くて、自分の好きなものを相手に知ってもらいたいという熱心さと、相手の好きなものを尊重する敬意がきちんと共存していて、綺麗なものを見たら共有したいという純真さがあるからだ。友情を育むうえで大切なことを、いるかとくじらは教えてくれる。
それぞれ結婚をしてからも変わらず寄り添って散歩をする二人の友情が眩しく美しくきらめいていて、何だか泣きたいような気分になるのだった。



