ありたろう
@reads-arihiro
2026年9月15日
旅して学ぶ台湾
劉彦甫,
山崎直也,
洪郁如,
胎中千鶴,
赤松美和子
読み終わった
台湾を旅したいなと思い手に取った1冊であったが、結果的に台湾の歴史への理解が深まった。
まえがきで指摘されているように、日本の公教育で台湾について触れる機会は少なく、オランダと鄭成功、日清戦争後の割譲領土の次は蒋介石の落ち延び先、あとは李登輝と海峡危機、といった具合である。
かなり近現代史に偏っているのはもちろん、外部アクターの作用の結果生じたイベントが中心であり、主体的なアクターとして台湾島がどのような歴史を辿ってきたかを通史的に振り返る機会は意外なほど少ない。
本書は先住民文化から取り扱う時間的ウィングの広さはもちろん、台湾島、台湾社会を主語として、台湾がどのようにあり、そして何を受け入れ、どのように変化してきたのか、という系譜を丁寧に歩ませてくれるガイドブックのような趣があり、まさに執筆陣が目指した「旅して学ぶ台湾」というコンセプトが、読者が台湾各地の歴史を辿る旅人となるという意味でも達成されていると感じられた。
玉石混交の台湾有事関連書籍が書店に溢れる今日この頃であるが、本書を一読し、「現代台湾」に連なる系譜を理解、共有することもまた重要になるだろう。読了後、実際に現地を訪れたいというにモチベーションが否応にも惹起されることは言うまでもない。
