
本の虫太郎
@book_liver
2026年9月16日
西洋の敗北と日本の選択
エマニュエル・トッド
読み終わった
印象に残ったこと3点
・活動的国民と無気力国民
「国民」とは、集団的信仰によって「政治的に目覚めた民来」と、その信仰に沿って「民票を導くエリート」のことを指す。ただし、「国民」という集団的倉仰が消滅すれば「国家」もまた消滅すると思ってはいけない。ここで唱えるのは「行動する能力」だけで、「民衆」は残存する。
(中略)
一方、ドイツのケースでは、「国民の理想は蒸発してしまったが、明らかに「何か」が経済的な力を生み出し続けている。こうして私は「国民の完全な消滅」という見方に再考を迫られることになったのである。ここで私は、自覚のある「活動的国民」に対して、自覚はなく、まさに物理学的な意味で惰性のままにある軌道を進んでいくような「無気力国民」を対立させてみた。
(中略)
日本もまた、「直系家族・ゾンビ」の国であり、国家プロジェクトを欠いたまま、完全な形で存続し、ドイツと同様に経済的な強迫観念に取りつかれている。
・ウェーバーの定義に見出せるのは、典型的な「プロテスタント・ゾンビ」である。もはや宗教の実践はしないが、倫理として、誠実さ、労働、真面目さという価値観を重要視し、人間に与えられた時間は限られているという意識を持つ。
・高等教育を受けた人々の高額の収入は、弁護士、銀行家、その他多くの見せかけの第三次産業従業者が優れた略奪者として群れを成していることを物語っているのである。これが教育の発展がもたらした究極の悪影響だ。高等教育修了者が急増し、無数の寄生虫が生み出された。フランスの読者がなぜフランスは貧しくなっているのかを知り、不安になりたいのであれば、公務員や移民を非難するのではなく、ビジネススクール、経営学、会計学、セールス学の学生数が一九八〇年の一万六〇〇〇人か、二〇二一年から二〇二二年の間に二三万九〇〇〇人に増加していることに着目するべきだろう。
