
ケイ
@flyingkei
2026年9月16日
サタンタンゴ
クラスナホルカイ・ラースロー,
早稲田みか
読んでる
雨が降り続いてる本作を読みながら、ふと目を上げると現実でもどしゃ降りで、作中のすさんだ空気にちょっと引きずられる…。
第一部 第四章〜第六章
どしゃ降りの雨の中、泥濘に沈む打ち棄てられた農村に、死んだと思われていた二人の男が帰ってくる。帰りつつある、雨の中、泥濘の中、前章から引き続き二人の男は村に向かっているのだが、彼らが実際に村に着くのは第一部の最終行だ。
人びとは、ある者は期待と共に、ある者は疑いと共に、またある者は恐れと共に、彼らの到着を待っているが、その裏で哀れな少女が命を絶つにいたる悲惨な出来事が進んでいる。居酒屋に集まり悪魔のタンゴを踊って酔い潰れて眠る大人たち、姿を見せず毎夜巣を張る蜘蛛のような閉塞感・絶望感の中で近視眼的に日々を過ごす彼らと異なり、見捨てられた少女エシュティケは不幸と恐怖に苛まれながらも、どこからか明るい光が差し込む世界の中に生きている。その明るさは発熱時の幻であり一瞬の夢が見せるまやかしの希望でしかないが、天上の天使を信じる純粋さが不幸な少女の世界をほの明るく照らしているのは事実だ。
少女は夢破れても誰を責めることなく、天使の迎えを信じて目を閉じる。悪魔のタンゴは酔い潰れた人びとの寝息の中で哀愁に満ちたメロディーへと変わり、アコーディオンを弾く男は涙を流す。そこへやっと姿を見せた「復活」の二人、彼らは村に何をもたらすのだろうか。

