jaguchi "巨匠とマルガリータ" 2026年9月17日

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@jaguchi87
2026年9月17日
巨匠とマルガリータ
巨匠とマルガリータ
ミハイル・ブルガーコフ,
石井信介
ああ、こんな素晴らしいものをまだ読んでいなかったなんて。何という読後感。 この物語に登場する悪魔ウォーランドは「ファウスト」に登場するあのメフィストフェレスと同一の存在(という設定)らしい。その悪魔が、人語を喋るデカい黒ネコやら全裸の女吸血鬼やらの手下を従えて1930年代のモスクワに到来し、やりたい放題の大饗宴。そこに、キリストと彼を処刑した総督ピラトの物語、巨匠とマルガリータの愛の物語が相互に織り込まれる構造。 ある場面に「逮捕の暗示。ロシア人なら読み進むうちに気づくが、現在の日本人には理解しにくい」という内容の訳注がついている。こんなに少ない情報量でロシア人の読者なら意味をくみ取れるのか、という驚きがあった。独裁政権下の秘密警察、密告、粛清という時代を生きるのがどういうことなのか、作者の皮肉を通して描かれる。 ブルガーコフ自身も検閲の犠牲となっており、「巨匠とマルガリータ」は生前に発表することがかなわなかった。文壇に否定され絶望した巨匠と作者自身が重なり、悪魔の力を借りて救済への道をたどる。文学の、芸術の力を信じたい。まさに「原稿は燃えない」。 Рукописи не горят. 「巨匠とマルガリータ」が世界から失われず、私の本棚にやって来てくれて本当によかった。
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