
もちこ
@mochiko24724
2026年9月18日
暁星
湊かなえ
読み終わった
大物議員の刺殺事件を起こした犯人による手記と、その事件を題材に、とある女性作家が書き起こした小説。
最初は犯人の手記(暁闇の章)、次に小説(金星の章)、という順番で、読者は読み進めることになる。
このノンフィクションとフィクションの2作が、だんだんと交錯し、混じり合い、途中からどちらが本当で、どちらが嘘なのか、その境目が分からなくなってくる。
暁闇の終章には、「『金星』を読んだあとで読むことをおすすめします」という珍しい注意書きがあり、その順番に従って読むと、「なるほど」と納得できる仕掛け。
物語の内容自体に読み応えがあったし、読書体験としても楽しい。
物語の内容としては、怪しい宗教に陶酔する親に振り回される子どもたちの苦悩を描いている。
親のエゴで、子どもが辛い思いをするのは読んでいて胸が苦しくなった。
「せめて子どもの気持ちくらいは、考えてやれよ!」と親たちを叱りつけたい気持ちになる。
実の親から受けられなかった優しさを、暁の叔父さん夫婦や、星子の担当編集者が代わりに与えてくれて、その良心に救われた。
暁も星子も、すれ違いながらも互いの幸せを願い続け、それがこの事件のきっかけにもなるのだけれど、どうかこれ以上の悲劇は起きないでほしい、と願う。
この物語の先の道のどこかで、また二人が出会える未来がありますように。
Audibleと併用して読んでいったが、朗読者の二人(『暁闇』は櫻井孝宏さん、『金星』は早見沙織さん)がとても良かった。
暁と星子が実在するような錯覚をしてしまうほど、淡々と、でも説得力を持つ声色で語りかけてくる。
文章が立体的になっていくのを感じた。