
海底
@kaitei
2026年9月17日
日日是好日
森下典子
読み終わった
季節の情景、心情のうつろいのながれるような描写がずっと気持ち良い一冊。文字に感覚が溶けてく。ヒーリング効果がある気がする。
「すると、ある日突然、雨が生ぬるく匂い始めた。『あ、夕立が来る』と、思った。」
「前は、季節には暑い季節と、寒い季節の2種類しかなかった。それがどんどん細かくなっていった。」
「春は、最初にぼけが咲き、梅、桃、それから桜が咲いた。葉桜になったころ、藤の房が香り、満開のつつじが終わると、空気がむっとし始め、梅雨のはしりの雨が降る。」
「梅の実がふくらんで、水辺で菖蒲が咲き、紫陽花が咲いて、くちなしが甘く匂う。」
「季節は折り重なるようにやってきて、空白というものがなかった。」
茶道の複雑な順序、しかも夏と冬で全く違う手順になる雁字搦めのルールの中で、賽の河原みたい、意味がわからない、と作者が嘆いているのが面白かった。本当にそんな感じなんだろうな。でも人生で一回くらいは経験してみたい。
万物が切れ目ない季節のサイクルに乗って生きていること、その変化に五感を研ぎ澄ますことを思い出す。生物としてのアンテナを失わずにいたいね。



