ななり "地の果て、砂の祈り" 2026年9月18日

ななり
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2026年9月18日
地の果て、砂の祈り
ナイルの夕景、青空の下の神殿と棗椰子、砂漠の夜空、ミャンマーの民族衣装、黄金の仏塔。この小説で描かれているそれら以外にも、世界には美しさが溢れている。悠久の歴史の中で変わらないものと、その中で人が作り上げてきたものは、いつも理屈を超えて見る者に鮮烈な感動を与えてくれる。しかしこの世界には、女性やセクシュアルマイノリティに対する差別や偏見、あるいは強固な宗教慣習といった人が作り上げてきた理屈外の歪みも同時に存在し続けてしまっている。作者はこの小説でその両方と、世界の構成員としての人間、ひいてはマイノリティ同士での分かり合えなさやすれ違いも等しく実相として描こうとしている。誠実さや、諦めることは選ばない信念が宿っているつよい文章もとても良かった。社会や人に苦しむのも絶望するのも、根本にはそれらを信じて愛している部分があるからで、だからこそ、そんな人達もただ美しいと感じられる世界でなければならない。
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