
読書日和
@miou-books
2026年9月18日
読み終わった
借りてきた
村木厚子さんの冤罪事件。ニュースで第一報や続報を見ていたので、この事件は覚えている。
当時は「官僚ってこんなことをしちゃうんだ。真面目そうなのに……」なんて思っていた。冤罪だったのに、まんまと検察側の筋書きに乗せられていたんだなぁ。
本書では、ご自身の冤罪体験とともに、日本の刑事司法制度が抱える問題が語られている。
体験談の部分は、読んでいてこちらまで心が折れそうになる。自分は何も悪いことをしていないのに、組織の力によって犯罪者に仕立て上げられていく。その恐ろしさは、想像するだけでもつらい。
「有罪率99.9%」という数字も、日本の検察や司法が優秀だからこそ、と考えていた部分があったけれど、そこには表に出ていない冤罪や、無理に有罪に持ち込まれてしまった事件はないのだろうかと考えさせられた。
無罪判決を書くことにも、膨大なエネルギーが必要だという話は初めて知った。
上級審で判決を覆されないように。検察に「恥をかかされた」と受け取られないように。判決の根拠を懇切丁寧に説明しなければならない。
無罪を言い渡すことさえ、これほど慎重さや労力を求められるのかと驚いた。
後半では、袴田事件をはじめ、戦後のさまざまな冤罪事件が取り上げられる。
なかでも記憶に新しいのが大川原化工機事件。十分な治療を受けられないまま、被告人の立場で亡くなった方のことを思うと、ご本人もご家族もどれほど無念だっただろうと思う。
現代の日本で、こんな冤罪や捏造が起きるのか。そう怖くなったことを覚えている。
なぜ、こうしたことが起きてしまうのか。
「間違ってはいけない」「組織を守らなければならない」という意識が、検察に限らず日本の組織に広く存在していることも関係しているのかもしれない。
間違いを認めるより、組織の判断を守ることが優先される。そうなると、誰かが疑問を持っても声を上げにくくなってしまう。
そして、もし自分が当事者になったらどうするか。
本書で語られていた、黙秘や供述調書への署名についての注意は、恐ろしくもあり、知っておく必要があることだと思った。
自分の言ったことが、そのまま正確に調書に記載されるとは限らない。分かってくれると思って話したことが、別の形で記録されてしまう可能性がある。調書の内容を十分に確認し、納得できないものには署名しないこと。
こうした知識を、できれば使うことなく一生を終えたいけれど。
冤罪は、遠い世界の誰かに起きる出来事ではない。制度や組織のあり方について考えるとともに、自分の身を守るためにも、読んでおいてよかったと思う一冊だった。