梔子 "腹を空かせた勇者ども" 2026年9月18日

梔子
梔子
@asago_404
2026年9月18日
腹を空かせた勇者ども
金原作品によく出てくる恋する母親。だが今回は珍しくその娘視点で描かれた作品。 普段書いているような理論武装の大人の女性ではなく、陽キャ女子中学生ということで新鮮だった。 金原さんは、人と人は決して分かり合えないということをずっと書き続けている人だと思っているのだけど、読んでいる私と登場人物とで、金原ひとみ初見作品である『軽薄』ぶりにそのことを強く感じた。 終始娘視点だったことで、今まで偉そうに客観性の有無や恋と母親を両立させている(最も別作品では娘に「無理やりこなしていた」と言われているが)ことを説いていたことがそうではないとより浮き彫りになっていたし、母親の彼氏が最後まで情報としてしか出てこない構成も良かった。 いつもより若い子に向けて書いたのかなという雰囲気を感じた。『理屈っぽい大人なんて相手にしないで、好きだと思えるもの大事にして、それを伝えられる言葉と気持ちの強さを持って生きてね』と言う様な…。 私自身、親の恋愛というものに人より強い抵抗感がある自覚もあるので、それを娘視点で描かれるとなるとかなり疲弊してしまって途中休憩を挟んだ。 不倫しながら離婚はしないし、どころか彼氏がいることを隠しもしないで、娘にはスマホの使用時間や門限などを厳しく設け、破った時にはペナルティや自分の価値観に見合う納得させる理由を中学生に求める母親。人には想像力がない語彙力がないと説教する割に、圧倒的に自分よりも人生経験の少ない歳下相手に同じ目線に立たせようとするその姿勢がどうも気に入らない。挙句の果てには、娘に対して「人の恋愛に口を挟まなければ人生はもっと有意義になものになる」などと嫌味を飛ばす始末で、いやいや、子どもとパートナーは巻き込まれてるんだから口を挟む権利があるんだよ、と…。 幸せは一つの要素によって得られるものじゃないというセリフ(不倫していない父親が発した言葉だが)がある。それ自体はそのとおりなのだけど、絶対に傷つく人がいることが誰でも分かることでしか得られない幸せを求めてしまう場合、ただの自分勝手な欲張りさんにしか見えないし、そういう人が愛だの恋だの語るのはちゃんちゃらおかしいと思ってしまう。どうしても私には何をどう解かれても肯定できないことだ。 余談だけれど…この手の人たち、一日三食・弁当、家を空けるときの作り置きとかそういうちゃんと料理を作っていることを盾にする人多いけど、恋人いない親が同じことやっても特段褒められなかったり感謝されないことがアピールポイントみたいになってしまうの、世の不倫してないお母さん・シングルマザー達を思うと何の大義名分にもならないんだけどなと思う。この作品において母親は別に恩着せがましくしているわけではないけれど、勿論罪悪感のためでもない雰囲気でやるべきことをやっているという印象。ただ、娘はかなりそのことに対して大変だなとか気を遣っている印象を受けた。忙しのは仕事+彼氏に会いに行ってるからという自分で首絞めてるだけなのに…、勿論お母さんがご飯を作るのが当たり前!と感謝を忘れてしまうのは良くないけれど、子どものときくらいそんな気の使い方しないでいてほしいと願ってしまう。…年かな笑
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