
無重力くらげ
@NoGravityJelly
2026年9月19日
ゴリラ裁判の日
須藤古都離
読み終わった
人間とは複雑な言語体系を有するものだ、とある学者が定義した。ならば言葉を理解し、手話を操り、プロレス団体に所属して働いているゴリラは人間なのか。そのゴリラの夫である別のゴリラが射殺されたら、動物園側は賠償するべきなのか。
おもしろいテーマの小説で、あらすじを読んだだけで即購入してしまった。手話を使って人間とコミュニケーションをとることができるゴリラのローズ。彼女はとても魅力的なキャラクターとして描かれていて、すぐ好きになれた。物語は一度目の裁判でローズが負けたところから始まる。その後すぐにローズ回想が始まり、本の中盤あたりまで続く。動物園に入る前のジャングルでの生活の様子は読んでいて楽しかった。描写が生き生きとしていて(作者によると多少の演出は含まれている)、ゴリラの生活を実際に見ているようだった。終盤の2度目の裁判は思わず緊張した。ローズ側の弁護士が絶妙に信用しづらいキャラクターで、ローズと共に「本当に大丈夫か?」と何度も疑ってしまった。
ローズは言葉を知ったことで人間とコミュニケーションをとることができるようになり、それを喜んでいた。しかし終盤では人間からの心ない言葉に傷つき疲れ果てていた。言葉は誰かの喜びにも悲しみにもなりうる。SNSでは頻繁に傷つけるための言葉が投げつけられるが、自分も生活の中で今一度言葉に気を配ってみようと思った。

