サブレとポッポの往復書簡 "月の立つ林で" 2026年9月19日

月の立つ林で
月の立つ林で
青山美智子
全5話からなる連作短編集。 各編それぞれの主人公の置かれた境遇や起こる出来事、そして心の内側で様々な思いを、月にまつわる様々なエピソードと重ね合わせるようにして、物語は進んでいきます。 連作短編なので、ひとつひとつのお話の中の登場人物それぞれの関係性が、当人たちが見えない形、意識しない形でで繋がりあっていて、この本の中でその象徴になっているのが『新月』です。 第一話の『誰かの朔』では、読みながら、今、この仕事をしている私は、一体誰かのためになってるのだろうか?と考えさせられたり、 第二話の『レゴリス』では、誰もいない場所だからこそ、自分の本音を見せられる、といった一節の中に、こうして『Reads』に読書記録をつけている自分自身を見いだしたり、 第三話の『お天道様』では、同じ職場の年上の同僚の姿が浮かんできて、こっそりとその本心に思いを馳せてみたり 第四話の『ウミガメ』では、人と繋がることを諦めて、捨て鉢のような思いで、一人立ちしようと足掻いていた昔の私を重ね合わせ、 そして、第五話『針金の光』で、誰かへの優しさは、自分が思っている形と同じものとは限らないこと、気がつかないだけで、実はその人なりの優しさってこともあるってこと ああどうしてこんなに、青山美智子さんの書く世界は、私の琴線を捉えて離さないのだろうか… 最後に、ポッドキャストの配信者の正体が明らかになるのですが、その場面まで読み着いた時、まるでパズルのピースがカチッとは嵌まったかのような、清々しさにも似た感覚を覚えました。 きっと、自分もいつかこうして、人からの評価を気にせずに飾らない気持ちを表現したいと思っているからなのかもしれない。
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