
いっちー
@icchii317
2025年4月8日

プリズン・ブック・クラブーーコリンズ・ベイ刑務所読書会の一年
アン・ウォームズリー,
向井和美
借りてきた
じゅうぶん読んだ
いいコンセプトの本。「書く」ということの強さを感じることができた。読書会の発起人であるキャロルもさることながら、この本の著者となったアンも、強盗に襲われたトラウマを克服して受刑者と共に読書会の場に参加する勇気と、その中での話を本にするという気力や根気があってこその作品だった。
同時に「ケーキを切れない非行少年たち」も思い出した。この本の中に「受刑者は知的障害者を『バグ』と読んで避ける。虫のように次に何をするか予想できないからだ」という一節があったが、この読書会に参加するのは本を一冊読み終えられる読解力や集中力、知的好奇心が高い人たちだと思わずにはいられなかった。もちろん時間を持て余しており置かれた状況から普段以上に読む必要性にも駆られ、初めて本を読み通した人もいるだろうし、読書会の意図には「彼らを中流階級に引き上げる」ことも含まれているとあったので十分すぎるほど意義はあると思う。ただ銃社会で故殺(計画性のない殺人)による服役もある社会では、受刑者のグラデーションが日本よりも広いのかなと想像した。日本ではこのような読書会は存在するのだろうか。
でも、ふだんは「孤立の中にいる」ということだから、受刑者たちが垣根を超えて楽しげに知的に会話できているように見えるのも、読書会という場の力によるのだろうな。
・置かれた状況によって、同じ描写に対しても感想が180度変わることがある。読書会メンバーの意図に反して、作者に辛口の評価をされることもある。彼らの立場を想像しながら選書しなければならない。(月で暮らす少年)
・当事者研究の意義とは、カオスの只中にあった生に秩序を与え、自分のことを外から捉えられるようにすることと『〈責任〉の生成』にあった。この読書会も、本の中にある様々な物語に共感したり、感想を話し合ったりする中で自分の置かれた状況を捉えなおす契機になったのだと思う。
関係ないけど、社会復帰施設での生活って普通の生活よりも義務が多くて大変なんだな。その生活をクリアした人は自己管理能力が私なんかよりも全然高いと思う。ちょっと偏見がなくなったかもしれない。




