
ケイ
@flyingkei
2026年9月19日
二月のつぎに七月が
堀江敏幸
読んでる
今日は時間が取れず、ほんの少しだけ。隙間読書でもすっと心が凪ぐのが堀江作品の魅力!
291〜313ページ
扇風機が回る夏の情景から始まった本作、変わりなく穏やかないちば食堂にも季節は流れ、年末となった。食堂は変わりなくとも、登場人物はそれぞれに少しずつ変化している。この少しずつの、けれど確かな変化というものが、人生そのものという感じもする。
変わった、と区切りを付けるほど目に見える大きな変化があるわけではない。けれど、夕暮れ時の空がゆっくりと濃紺の夜空に移っていくように、少しずつ少しずつ、人は変わっていく。
算盤をご破算にするような、街がすっかり変わってしまうようなリセットとは違う。痛みが少し軽くなり、自分の仕事に対する解像度が少し上がり、手にした本の言葉の鋭さが少し和らぎ、身近な人との距離が少し縮まり、かと思うとまた広がる。そんな少しずつの変化を、本作はただ静かに描き続ける。その心地よさ、厳しくはないが優しすぎない距離感の視点が、本作のページを開いている間の、凪いだ、けれど確かに水の上にいるような揺らぎのある、独特の落ち着いた感覚を与えてくれている。
