
サブレとポッポの往復書簡
@snowflake
2026年9月20日
オール・ノット
柚木麻子
読み終わった
感想
読書日記
@ 自宅
生まれた時代や、家庭の事情など、そういった自分だけの力ではどうにもならない要素。これらに恵まれるか恵まれないかって、確かに人生に大きく影響を与えるけれど…必ずしもそれだけでは決まらない。
第一章での主人公の真央の姿は、自分が恵まれない側の人間だと自覚した上で、配られた手札の中で、懸命に自分の人生にとっての最善を尽くそうと前を向き続けようとします。その姿は美しくもあるけれど、同時に、とても壊れやすく危ういとも感じました。何故なら、いつもギリギリだから、全力だから、なにより真央の気持ちにも余白がないから。
そんな真央も四葉と出会い、そこから一族に繋がる様々な人たちとの数奇な出会いが、良い出会いも悪い出会いもひっくるめて、そして、真央自身がこれまでの自分の働き方が必ずしも共通の正解ではなかったということを知り、それもまた真央の器を成長させてくれます。
だからこそ、行動の結果というものが必ずしも正解であるとは限らないし、かといって全てが否定されるものではないという考え方を、真央は改めて腹落ちさせることが出来たのだと思います。
そして、真央は自分のキャリアアップの選択が失敗する可能性も敢えて受け入れた上で、かつて自分が四葉にしてもらったのと同じように、今度は佐々木さんにオールノットを託します。
最終章が、現在より少し先の時間軸として描かれているのは、佐々木さんが真央から、そして舞が四葉からそれぞれ託されたオールノットがここからどうなるのか、私たちの想像に託されているからなのかもしれませんね。
