
ユメ
@yume_bookworm
2026年9月7日
風の海 迷宮の岸 十二国記
小野不由美
読み終わった
感想
再読
『魔性の子』で広瀬は、ひとならざる者・泰麒が還ってゆくことに激しい嫉妬心(と簡単にひと言で纏めるのも憚られるが)を抱いていたが、彼が憧れた「ここではない世界」も泰麒にとって決して安住の地だったわけではない。
特別な存在・麒麟には麒麟にしかない重圧があり、王とはまた異なる形で自国の民の暮らしを背負っている。加えて胎果であった泰麒は、自らが麒麟であるという自覚の薄いまま、王を選ぶという大任に当たらなければならないのだから尚更だ。
結局のところ、どんな立場の者でも、自分の居場所を理想の地に近付けてゆけるかどうかは自分の生き方次第なのだろう。それは残酷な事実でもあり、同時に希望でもある。
泰麒と驍宗の強い結びつきを見ていると、『白銀の墟 玄の月』の終盤で両者が再会するシーンが思い出され、思わず目が潤んでしまった。転変も、使令を持つこともできなかった泰麒が、驍宗が絡むと途轍もない力を発揮する。時を経てのあの結末は、必然だったと言えるのかもしれない。
悩み惑う泰麒に対し、不器用な優しさで寄り添う景麒のことも好きだし、泰麒のためにノリノリで悪玉を演じる尚隆も、それをやりすぎだと叱る六太も好きだ。そしてもちろん、泰麒や驍宗、李斎のことも好きなわけで、『十二国記』は本当に魅力的なキャラクターの宝庫だなと改めて思わされた。





