
秋雨
@akhno_k6
2026年9月21日
雨月物語
円城塔
読み終わった
紙の本
2026年読了本
「怪と幽」で掲載されていた円城塔による源氏物語の訳文がえらく美しく、それじゃあ他の訳文はどうかと気になって手に取った。
「雨月物語」自体をきちんと読むのが初めてだったが、別の機会に読んだ「吉備津の釜」などを、他の短編と合わせて改めて読むことが出来て楽しかった。
和歌や漢文、唐の時代の逸話を引用しており、原文だと前知識がなければ読みにくいんじゃないかな…と想像できたが、円城塔はかなり読みやすくなるような工夫を随所にされており、現代の本としての、ひとつの正解を見せてもらえたような気がした。
物語としては、個人的に好きなのは「菊花の約」「蛇性の淫」でした。義を重んじ、それに反する不正義を断ずる話が中心で、その悲哀の感情やダイナミックな書き方が好きでした。
同時に、江戸時代の女性への差別的な描写も見ることができ、こういうのが今も下敷きになってる人がいるんだな……と少し嫌な気持ちにもなった。当時は一般でないもの=怪異の一種として見る雰囲気があり、つまり女性も怪異に類すると見る視点があったのは知識として理解していたが、「蛇性の淫」や「浅茅が宿」で特に軽んじられる視点があると感じた。
当時の価値観についてどうと論ずるつもりもないけれど、今もこうした蔑視がゼロになったかと問われればそんなことはない。エンタメとしてこの作品と怪奇的な雰囲気と歌のような美文を楽しみつつ、そうした価値観への批判的な視点を持ち続けたいと感じた。



