
ウタカタ
@uta-ka-ta
2026年9月21日
ワンルームから宇宙をのぞく
久保勇貴
読み終わった
「ワンルームには、天動説がよく似合う」
たまたま行きたい本屋さんがあって、たまたま手に取った本の書き出しがこれだった。体が持ち上がり、星空の中に放り込まれたように読み耽った。
もともと理数系が苦手なのだが、数学や物理や建築や工学を介する人に猛烈な憧れがある。変人物理学者も、結婚できない建築士も、教室に火星を作り出した科学部の面々も、私にとっては憧れの人々。この本の著者も、宇宙工学の専門家なので、物理の数式を解し、宇宙の研究をする。それでもそこにいるのは、研究のあり方に迷い、悩み、酒を飲み、たまにぼーっと空を眺める人だった。
科学は、科学だけで成立しているのではないらしい。そこには哲学と倫理が必要なのだそうだ。エッセイの中で、民間ロケットの話が出てくる。それまである種国家が主導してきた宇宙研究が、民間に解放されることとは、そこに「経済性」が持ち込まれることに等しいと。安全性とコストが天秤にかけられる。もし、宇宙工学が「儲かる」と判断されたら。ロケットに爆弾を積めばそれはミサイルになると書いてあった時、背筋が冷えた。
この著者は、きちんと倫理を持ち合わせている。というか、科学者みんな基本「そう」なのだと思う。自分の研究が戦争や人殺しに使われることを望んでいる人なんて、きっといないだろう。だから私も、宇宙に憧れつつ、ロケットに爆弾が積まれないことを見ていないといけない。
