

ウタカタ
@uta-ka-ta
積読消化からがんばりたい社会人
- 2026年9月21日
ワンルームから宇宙をのぞく久保勇貴読み終わった「ワンルームには、天動説がよく似合う」 たまたま行きたい本屋さんがあって、たまたま手に取った本の書き出しがこれだった。体が持ち上がり、星空の中に放り込まれたように読み耽った。 もともと理数系が苦手なのだが、数学や物理や建築や工学を介する人に猛烈な憧れがある。変人物理学者も、結婚できない建築士も、教室に火星を作り出した科学部の面々も、私にとっては憧れの人々。この本の著者も、宇宙工学の専門家なので、物理の数式を解し、宇宙の研究をする。それでもそこにいるのは、研究のあり方に迷い、悩み、酒を飲み、たまにぼーっと空を眺める人だった。 科学は、科学だけで成立しているのではないらしい。そこには哲学と倫理が必要なのだそうだ。エッセイの中で、民間ロケットの話が出てくる。それまである種国家が主導してきた宇宙研究が、民間に解放されることとは、そこに「経済性」が持ち込まれることに等しいと。安全性とコストが天秤にかけられる。もし、宇宙工学が「儲かる」と判断されたら。ロケットに爆弾を積めばそれはミサイルになると書いてあった時、背筋が冷えた。 この著者は、きちんと倫理を持ち合わせている。というか、科学者みんな基本「そう」なのだと思う。自分の研究が戦争や人殺しに使われることを望んでいる人なんて、きっといないだろう。だから私も、宇宙に憧れつつ、ロケットに爆弾が積まれないことを見ていないといけない。 - 2026年9月18日
タコ セロリ アボカド長谷川あかり読み終わった自分一人のためにご飯を作るのが苦手で、一人だとコンビニとかUberで済ませてしまうことが多い。自分で作るから味のバリエーションも少ないし、扱い慣れた食材しか使わなくなってしまう。長谷川あかりも「そう」だったことを知ってどこか安心した。料理を仕事にする人でも、そんな日もあるのだと。 最近自分のためにご飯を作ることの尊さがよく言われる。でも、自分のためのご飯作りって頑張れない。誰かのため(これは家族だったり友だちだったりするが)なら頑張れる。実は料理を通じて自己肯定感や、自己の存在を確かめているのかもしれない。 料理は生きることに直結しており、誰かを生かすことにも直結する。料理から見える夫婦やパートナー同士の関係性が私は好きだ。 - 2026年8月22日
殺人の門 下 新装版東野圭吾読み終わったすっごい怖い話だったな。憎悪は連鎖する。お互いに憎悪を募らせていて、それは子どもには選べないところから始まっていた。そしてその憎悪は人生を賭けて、互いを破滅させるに至る。こんなもんどうすればいいのよ。 - 2026年8月12日
黒牢城米澤穂信読み終わった映画を見にいけなかったので、原作を。 官兵衛が有岡城に幽閉されていた間、こんなことが起きていたかもしれない。いわゆる安楽椅子探偵を演じた官兵衛が、実は全ての手薬煉を引いていたとしたら。 この官兵衛はこのあと秀吉に「殿の武運が巡ってきたな」というだろうなと思った。 - 2026年8月2日
殺人の門 上 新装版東野圭吾読み終わった少し前に買って積んでおいた。まさか訃報を聞いた後に読むことになるとは思わなかった。 来年映画の公開を控えている。これ、どうやって映画にすんだ。「問題作」と言われているが、上巻は田島の子ども時代が描かれる。本人にはどうしようもない、今で言えば「親ガチャ」に外れた子どもだった。だからと言って、そんな子どもたち全てがこんな人生を送るわけではない。出会う人との繋がりによって、方向は変わる。だが、田島の人生は倉持という糸によって引っ張られている。 - 2026年7月24日
成瀬は信じた道をいく宮島未奈読み終わったいつのまにか成瀬の続編が出ていた。 成瀬は文字通り「信じた道を行っている」ように見えて、本当は気遣いだし、優しい。それがみんなわかるから、成瀬の周りには人が集まるのだと思う。 - 2026年7月16日
完璧じゃない、あたしたち王谷晶読み終わった老いも若いも、みな人を愛している。世の中どんなにクソだとしても、どんな人も何らかの形で、人のことを思っている。女同士の話が、ごく自然に、何のフックにもならずに描かれる。別に全てがきれいじゃないし、ある時は悲しくて、ある時は醜い。こんな話が増えればいいな。 - 2026年7月5日
プラハの古本屋千野栄一読み終わった積読中本屋で見てジャケ買い、パケ買い、いや、表紙買い。本と生活、あと旅に関わる本が好きなことがわかった。社会主義国への留学記のようなものだった。特に古本屋の主人とのやり取りは、資本主義ではなかなか見られなくなってしまったものではないだろうか。もちろん、これは当時のチェコスロバキアが社会主義国であったこともある。それでも、遠い東の国からチェコスロバキアの言葉を学びにきた青年に、少しでも学びを持って帰ってほしいという思いもあったのではないだろうか。 - 2026年6月14日
MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY上出遼平,仲野太賀,阿部裕介読み終わったスーパーウルトラインドア人間にとって、旅行記というのは読んでいて非常に楽しい。ネパールという、同じアジアにあるのに遠い国の記録。この本はドタバタ珍道中であり、他の旅行記本にはないあたたかさがある本だった。 ネパールでは11年前大きな地震があった。その話を聞いたことも記されている。出会った人々は淡々と、ここには村があり、たくさんの命があり、そして天災に飲み込まれたと語る。私は日本以外の地震の話を聞くことがあまりなく生きてきたので、彼ら3人の経験を追体験するような気持ちで読んだ。 やっぱり印象的だったのは、めちゃめちゃ美味しいアップルモモを作ったベーカリーの女性だ。少し緊張気味に、でも柔らかく微笑んでいる写真を見て、私もこの人の作るアップルモモを食べたいと思った。 - 2026年5月24日
文庫版 姑獲鳥の夏京極夏彦読み終わったおそらく初めての京極夏彦。分厚さとその題材から読みにくいかなと想像していたけど、とってもするすると読めた。 そしてホラーでオカルトかと思いきや、その種明かしは実にロジカルで、なんというか、妙な納得感がある。 - 2026年5月5日
棚からつぶ貝イモト・アヤコ読み終わった最近エッセイを読むのが好き。芸能人でも作家さんでも、書くことで収入を得ている人、ひいては生業としている人にずっと漫然とした憧れがある。特にエッセイなんて、日々面白い体験やコミュニケーションをとっていないと書けないものだと思っていた。だがそれは本質ではないんだと思う。全然映えない日常もある。私のような市井の人間と同じように。 - 2026年5月3日
これは経費で落ちません! 13 〜落としてみせます森若さん〜uki,青木祐子読み終わった仕事の話を読むのが年々楽しくなっている。本シリーズの主人公の森若さんは仕事ができるので、なおさら。 だが本作は、必ずしも全員が仕事ができる人、と言うわけではない。まぁでも、会社ってそういうもんかな、という諦めもある。そうやって会社はなんとかまわっている。 - 2026年4月12日
宙わたる教室伊与原新読み終わったやっと、やっと読めた。 そして同時に、これがドラマになって良かったとも思った。重力可変装置やランパートクレーターの理論は、ド文系の私にはなかなかスッと入ってこない。それがドラマでは映像として作成されているため、なんとなくのイメージを思い浮かばながら読むことができる。その点では、ドラマが先で良かった。 私は特に「オポチュニティの轍」が大好きで、通勤中に電車の中で読んでいたらうっかり泣きそうになってしまい、慌てて本を閉じた。科学部の面々にはそれぞれの学びたい理由があり、そしてその「触媒」となったのが藤竹だった。でもその衝突が、宇宙で例えるなら超新星爆発、とでもいうのだろうか。科学部を超えたクラスメイトや、全日制の生徒、果ては不良仲間まで、良い化学反応を起こしていく。新しい宇宙が生まれる。宇宙にはそれぞれの生態系ができ、進化を重ねていく。 ドラマを見た時も思ったことだが、学ぶことを純粋に楽しんでいることが、羨ましい。大人になっても日々勉強は必要だが、そこにはどうしても仕事に必要だからとか、そんな打算が混じる気がしている。混じらないことはない、とはいえ、宙わたる教室を読む(見る)と、純粋に勉強を、学ぶことを楽しんでいる姿に、どうしても羨ましくなってしまうのだ。 - 2026年3月14日
宝島(下)真藤順丈読み終わった沖縄が日本になるまでの話だと思っていた。違った。 沖縄は日本とはまた違うのだ。冷静に考えたら、数百年前までは、そもそも、別の国だった。 沖縄の歴史は複雑だし、一度で理解はできない。理解できることもないんだろうけど。でも、その「なぜ」を突き詰めていっても、その背後にあるのって、結局「争い」なんじゃないだろうか。その最たるものが戦争である。 戦争がもしなかったら、というifはもう通用しない。一方で、これからの悲劇をなくすことはできる。戦争は、戦争だけが悲惨なのではない。 - 2026年3月8日
宝島(上)真藤順丈読み終わった日本史の教科書に、沖縄の話は何行書いてあっただろうか。沖縄戦があって、次には沖縄返還に飛んでいた気がする。その間、27年。これは、その27年間の出来事を書いている小説だ。 本を読むたびに、自分がいかに近現代のことを知らないか、を突きつけられるような気がしている。これもそうである。 - 2026年2月14日
ヒポクラテスの試練中山七里読み終わったかつて読んだ私がこれまで読んだ本の中で、一、二を争うような胸糞の悪いミステリ。気持ち悪くなりながらも、面白いので読んでしまう。 「ヘイトスピーチは砒素と同じ。微量であっても体内に蓄積し続け、やがて致死量に至る」というセリフがある。初めて読んだ時より重たい。毒を盛った方は、その毒が蓄積され、やがて死に至らしめてしまうことに、きっと気づかない。 - 2026年2月7日
オカダのジショ岡田准一読み終わった私の推しに共通するひとつは、「良い言葉を紡ぐひとであること」。その筆頭に上がってくるひとだなぁと、読んでいて思った。 前著書の「オカダのはなし」のころ、私は確か中学生で、読んでいてかっこいいなぁと(顔だけではなく)思っていた。今も変わらない。このひとはかっこいい。年々すごく「良い顔」「良い歳の取り方」をしていると思う。こんな人になりたいよね。 - 2026年1月16日
- 2026年1月12日
ある行旅死亡人の物語伊藤亜衣,武田惇志読み終わったいろんなところで大絶賛されていた本書。「一気読み」とある通り、開いてからすぐに引き込まれ、読み終えてしまった。 人は、亡くなったらそれで終わりだと思っていた。燃えてしまったら何もかも終わりだと。だけど、それは少し違うのかもしれない。あの人はどんな人だったのか、追う人がいる。そして、あの人はどうしていただろうかと心配する人がいる。そこには、その人が生きていた跡が、必ず残っている。 - 2026年1月7日
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