riho "彼女のカロート" 2026年9月21日

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2026年9月21日
彼女のカロート
彼女のカロート
荻世いをら
なにしろ彼は墓地が大好きだった(…)とりわけ好きなのは、四月のよく晴れた三時過ぎの墓地だったけれども、それ以外のどんなシチュエーションでも十中八九、彼はその空間いっぱいに自分が輝き出すのを感じることが出来た。冷え込んだ朝に高圧スチームで墓石を洗浄していると、幻想的な雲があたり一帯を包むのも好きだったし、春風が通り過ぎて、卒塔婆が騒がしくおしゃべりする束の間のにぎやかさも好きだった。他では見せない羽の使い方で鳥が本当に低いところを滑って墓石から墓石へと移動する、その時間の緩やかさが自分によく馴染んだ。(p17-18)
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