みい
@booklog_2026
2026年9月22日
空をこえて七星のかなた
加納朋子
読み終わった
加納朋子らしい連作短編集。デビュー作『ななつのこ』では、物語の中に物語があるという入れ子構造が見事だった。その続編『魔法飛行』では章の合間に差出人不明の手紙が挟まり、一体これが本編とどう関わるのかというミステリ要素が加わる。
一見バラバラだった短編同士が、実は大きな物語の一部だった──ビーズに紐が通って首飾りが完成するように──、こんなカタルシスが得られるのが加納朋子の短編集の特徴だ。
本作『空をこえて七星のかなた』では、その特徴がさらに強くなっているように感じられた。
加納朋子ファンである私は、二編目の冒頭でおおよその流れにピンときたので、これは誰のいつの話かな?と予想しながら読んでいた。
北極星には生まれつかなかった、普通の星々。地球から見ると、それらの星たちは北極星の周りをぐるぐると回っていて、まるでスターの周囲を右往左往する取るに足りない人間たちだ。だけど、北極星が北の夜空のど真ん中に位置しているのは、たまたま地球の地軸の延長線上にかの星は存在するからなのだ。長い時間をかけて、いずれは琴座のベガが「北極星」になる。それに、地球とは遠く離れた別の星から見れば、北極星もやはりどこかの星の周りを回っている。
ちょっと視点を変えてみたらどう?──加納朋子の作品には、そんなふうに人を励ましてくれる力がある。それを「空想力」と呼んだのは、『ななつのこ』、『魔法飛行』に登場するある青年だ。ちなみに、琴座のベガが遠い未来に北極星になると教えてくれたのも彼だった。
うん、やはり優しい。私は加納朋子が好きだ。
