チョム "地雷グリコ" 2026年9月22日

チョム
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@abb_20260521
2026年9月22日
地雷グリコ
地雷グリコ
青崎有吾
「射守矢真兎は勝負ごとに強い。」(p14) 中学の体育祭の学級対抗全員リレーで、全国大会に出るほど強い陸上部のメンバーが一人もいない彼女らのクラスはビリ間違いなしと目されていたのに、「なるべく恥かきたくない」と悩みながらリレーの走順を決める鉱田ちゃんに「こっちのほうが恥かかないと思う」と真兎が手を加えたことで、当日の全員リレーで一位になった。なぜ? どんな手を使った?──このエピソードは鉱田ちゃんの回想として見開き2ページでさらりと紹介されている。知ってしまえば単純で明快な手なのに、きっと他のだれも思いつかないような方法だ。(だからこそ一位を獲れたのだ。) 表題にもなっている「地雷グリコ」はジャンケンの勝者が出した手に応じて字数分だけ階段を昇る遊びの延長戦で、相手の仕掛けた地雷の段を踏んだらペナルティで降りないといけないという、単純明快なルールのゲーム。でも真兎と対戦相手の椚先輩はこちらが思いつきもしなかったレベルの頭脳戦を繰り広げる。 基本的に真兎の友人・鉱田ちゃんの視点で物語が描かれるため、我々読者は鉱田ちゃんと同じレベルの頭脳でゲームについて考え、気づき、展開されるゲームの模様を見届けることになる。第2章以降は真兎や対戦相手の視点で描かれる場面も増え、その思考も読める。読めるのに、真兎の手の内はその時が訪れるまで明かされないような書かれ方をしているので、我々は対戦相手や鉱田ちゃんと同じタイミングで驚き、感心することになる。 文庫版解説でも触れられているが、本作で真兎がゲームをする目的のすべてに青春的要素が絡んでくる。文化祭での出店場所を巡り、カフェの出禁の解除を巡り、……最終章で果たされる目的には、学生時代を経験した者の多くがグッと胸を熱くするに違いない。 私も真兎のような友人が欲しかった。
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