
よろこびイサンディ
@yorocobi_isandy
2026年9月23日

読み終わった
後半部に差し掛かったところで、WWⅡの敗走の場面が訪れた。
戦時下のモンゴルの地に調査に出向いているにも関わらず、戦争の気配すら感じ得ない前半部を読み進めるあいだ、想像から演繹していくことを楽しみにしていたために、この場面の到来は虚をつかれたような感じがした。
かの戦争の際、ロシアが対日参戦をしたのが8月9日の出来事であるが、その数日前まで、極めてのん気にモンゴルで調査をしている様子が描かれている。
1945年8月のある日を境に一変した記述から、戦時下のある側面を類推することは可能であると思う。
最終盤の動物記で「狼」についての記述があり、現在に於ける「熊」と同じような立ち位置で人間社会と関わっている有り様には驚いた。
「文明開化」の言葉が表すような、一変した人間の生活様式に伴い、狼も食料の確保が難しくなり、それ故、人間の女や子供を狙って、食らうようになった。
現代の熊について、人間を食料と見做し、狩りを仕掛けているようには見受けられない点は、狼との相違があるかもしれない。
ただ、絶滅というニホンオオカミの歩んだ末路を知っている我々からすれば、熊も同じような末路を歩む可能性を案じたりする。
二十歳の時分から数えてみれば、今西錦司氏の著作は2冊目の読了である。
40代だった著者による若書きの本書ではあるが、粗雑な憶測を踏まえた記述こそあれ、難しさはなく、得るところは多かった。
一読の価値くらいはあるのではないか。
