
たまご
@reading-egg
2026年9月23日
読み終わった
『こんなふうに、暮らしと人を書いてきた』に先に出会って、大平さんが気になる著者さんになり、台所の取材の記録を読みたいと思って、借りた。
台所のない火気厳禁の物件に住み、違う部屋の住人がホットプレートや電気鍋で振る舞ってくれる料理を「私の台所」として応募してきた人がいた。台所の定義、広っ。いろんな人がいるなぁって発見は、いつだって面白い。
「台所小論」と称したコラムで、「台所から時代を描きたい」と書いている大平さん。やっぱりテーマを持っているっていいなぁ。
最近、「ケア」「ケア労働」という概念が気になっている。台所仕事は、まさにケアの代表例だと思う。生きるのに欠かせないのに、その労働が、貢献が、注目されない。やって当然のものと見なされる。
大平さんは言う。「ぬかみそくさい」という表現に心がざらっとする。料理をする男性を特別視する時代などとうに終わっているのだと強く実感する、と。「ケア」が明るみに出てきた現代の空気を、ここにも感じた。
「喪失と再生」をテーマとする本書。パートナーと死別した人が多く登場する。死は最たる喪失だ。
「何も失っていない人などいない。
みな何かを喪失し、それでも立ち上がり
今日もごはんを作っている。」
から始まる、一人一人、本当にみんな違う人生を読んでいると、自分にもある喪失と再生の経験を俯瞰できる気がする。私も私なりに頑張ってきたよね、と。
