
米谷隆佑
@yoneryu_
2025年4月8日

ナイン・ストーリーズ
J・D・サリンジャー,
柴田元幸
読み終わった
「バナナフィッシュ日和」で始まり、「テディ」に終わる物語は、一言で言い表せない無常の円環を思い起こさせる。
9つの物語に通底する無常さは、書き続けてきたサリンジャーの答えなのかもしれない。本質は感情を抜きにしても伝えることができる。詳しくは知らないが、おそらくサリンジャーの見てきた世界は、感情をぶつけることでメッセージを伝えようとする手法で飽和していたのかもしれない。俳句の世界でいう「輪郭の描写」によって感情や本質を伝えようとすることの方がずっと重要だったと気づいたのかもしれない。
西洋哲学の者が東洋思想に触れた化学反応に読める。神からの脱却ないがしかし、物語の終盤で突き放された読者である我々は、永遠にラストシーンの前から離れられず、ただ祈る姿勢で彼らを見つめるしかないのだ。