
鱗拾い
@urokohiroi
2026年9月23日
幽冥の岸 十二国記
小野不由美
読み終わった
Readsってどこまでの長文が許されるんでしょうか。
許されないということは多分ないと思いますけど、『図南の翼』あたり以降己から生産される文章量がゾーンに入ってて戸惑ってる。
●「戦城南」
回想シーンは彼がそのように語ったのか、それとも彼の語りに合わせて作者が当時の光景を開示してくれただけなのか。
もし前者だとしたら、ちょっと解像度が高すぎるところがある。
ああいうことになった後で、そこに至るまでの幼馴染みの気持ちを何度も何度も考えたのかもしれない。
許せる、許せないのラインをお前はどこに引いた? 引いたことに自覚はあったか?
と、「挑むような視線」に問われたような気がした。
●「異邦の客」
「『(…)なぜなら奴は葛藤から逃げず、考え続けているからな』」
考え続けられるのが王なのかなって思った話したっけ? してたわ(華胥の自ポストを見ながら)
やっぱりそうなんだろうな。
上の命令は絶対という軍の規律に首を傾げる琅燦。
これがやがて王や天への疑問に繋がるのか……。
泰麒を子供扱いしすぎるのはどうなの、みたいに言ってたのも、黄朱で麒麟への見方がフラットな上に琅燦自身こういう子だったなら納得、と思わせるものがあった。
でも、このときはまだ人で実験をするようなタイプの子には見えないんだけど。
というか、琅燦にそういう片鱗が見えるまでの話かと思って読んでたから、あれ、そっち?となる終わり方だった。
しかし、良くも悪くも人を動かすところは確実に将来に繋がっている。
●「夢の結び」
え、そのあだ名は、え、え〜!?
選ばれなかった、あんまりかっこいい出方をしなかった人でも、こんなに優しく書かれて助けた子に慕われてるの、このシリーズに差した一種の救いの光だと思った。
でも、必要とされてる可能性があるならできることをする、足りないことを自覚してるってところは珠晶や陽子にも通じる美徳だよね。
●「幽冥の岸」
「——我々は何度も過つだろう。
——その過ちにどう向き合うかを、常に天に試されている。」
ああ、そう、結局そうなんだよなぁ……!
何というか、今までの人生で本を読んでどこかしらのフレーズで「至言だな」と思うことは多々あったけれども、今回の十二国記はシリーズ後ろのほうに行くにつれてこちらも多少啓蒙(?)されてきて、何か至言っぽいものが出てきたときに「それ!!!! 私もここまで読んでて思ってました!!!!」という現象が起きていてすごい、初めての体験をしている。
しかもそれが意外なくらいかんたんな言葉だったりするんだよな。
この物語を読んでいなくてもきっとどこかで聞いたことがあるような言葉。
あるいは、感想の中でポロッと同じようなこと書いてた、が起こりうるくらい普遍的な言葉。
でもここまで読んでいなければきっと私には血が通って見えなかった。
なに、何ですかこれは、私はこの先この読書体験に恥じないような生き方をしていかなければならないんですか? 勘弁してくれ(褒めています)
ここから先はもう蛇足なんですけど、私の感想なんてそもそも本編に対する蛇足みたいなもんなんでね。
思ったこと書き残していきますね。
『黄昏の岸〜』の李斎の、同じ胎果の王なら……というところに『風の万里〜』の鈴っぽさを感じていたのだけど、今回の「夢想に逃げ込むしかないほど」というところで、あぁやっぱりちょっと鈴入ってたよね、と思った。
罰は救い、自分にも罰はあると陽子。
それを罰と定めてしまってはあまりにも苦しくないか、下ろせない重荷ならせめて麒麟や天が決めたことだからと思っていたほうがまだ負いやすくはないかと思ってしまう。
この時点で実年齢二十歳とかだっけ?
ずいぶんと遠くへ行ってしまった気がしてちょっと寂しかった。
『白銀の墟〜』では延麒に悲しい顔をさせたまま終わってしまってたので、早々にお話できててよかった。
景麒は相変わらず、場を回してくれる人がいなくなるとちょっと心許なさそうにするのが慕わしい。
泰麒への言葉は厳しいものだし陽子が言うほど救いかな?と思うけど、許してはいないのに厳しすぎるとは感じなかった。
許されない罪だとはっきり名付けてもらったら、抱えて進む覚悟もできるのかもしれない。
……って思ったけどほんとかな、ファイナルアンサーではないです……。
あと景麒、最後の発言はちょっとごめん私だったら禅譲せねばならんかも(ド不謹慎)詳しく聞かせろ、それが野暮ならせめて延麒のリアクションまではカットかけないで見せて?
『魔性の子』の記憶が新しければまた違うのかもしれないけど、最初と最後、特に最初の暗闇の描写では『月の影〜』の出だしが思い出された。
ここからまた、泰麒の常世での生がようやく始まるのかも。
映画の『落下の王国』が好きなので、「至らぬ王と麒麟だな、我々は」でエモエモのエモになってしまった。
