torajiro "「その日暮らし」の人類学" 2026年9月25日

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@torajiro
2026年9月25日
「その日暮らし」の人類学
かなり面白かった。 「その日暮らし」は英語では「Living for Today」であり、価値観や生き方として人類学や哲学で扱われているということ自体ほとんど知らなかったので全編に渡って新鮮に楽しめた。資本主義が浸透し、果てしない成長が求められる社会においては、未来のために、長期計画でいまを過ごすというのは当たり前の感覚であり、その日暮らしの生き方は頼りないものだったり、勤勉でないと批判されたりする対象になるが、こうした考え方が人類にとって当たり前のものという訳ではない。 アマゾンの熱帯雨林に暮らすピダハンには過去や未来を表す自制概念も、数や色などの抽象概念も存在せず、直接体験だけが重視され、究極的にいまを生きるが実践された社会が実現している アフリカ東部の諸国間経済の中で生活する人たちの偶然性やネットワークに依存した仕事や人生の歩み方は、実はフリーランスで生きる私ともかなり通じる部分があるという気づきがあったのも面白かった。いわゆる計画的偶発性理論的に捉えることもできそう。計画的と偶発性のバランスはだいぶ違いそうですが。 模造品の制作販売などの仕事に対する捉え方として「仕方ない」という価値観が共有されている。ただ何でも許容される訳ではなく、そこには法的な違法行為と道義的な違法行為の区別があるというのも面白かった。違法ドラッグの販売は法的にも道義的にも反しているのに対して、模造品の販売については法的には良くないかもしれないが、本人がギリギリで生きるためにやっていることであれば仕方ない、と。 日本では最近資本主義の中での長期志向が行きすぎて「NISA貧乏」になる若者が増えているとも聞く。いまを生きることの意味について異なる文化から問い直すのに良い刺激になる本かと思う。
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