
本屋lighthouse
@books-lighthouse
2026年9月25日
読み終わった
優れた文学作品は必然的に社会と接続し、同様に、優れた文学研究も社会に接続する。イングランドの田園風景という「愛国心」の象徴的存在は、たとえばいまの日本における「美しい国・日本」的なモチベーションと重なり合うし、前者が戦争や移民排除の正当性を担保するものとして利用されてきたことと同じく、後者もまた現代の日本において同様の役割を担っている。文学と社会は切り離されているものではなく、密接に関わりあっている。そのことをあらためて感じることができた、ほんとうに濃厚な読書時間だった。
「世界のあらゆる地域がそれぞれ人種の多様化にむかって動いていく必然のなかで、イギリス小説が「場違い」な人間をどう描いてきたのか――それは本書ではあつかえなかったが、二〇世紀後半以降のイギリス小説にとって(イギリス以外の国の文学にとっても)きわめて重要な問題であることは間違いない。イングリッシュネスにかんする文化研究は、ポストコロニアル文学研究と接合していく必然性がある」(p.410)という文章で結ばれる本書は、丹治先生の門下生として私が今後引き受けていくべきものの一端を示しているにちがいなく、研究者というよりは本屋としての在り方になるのだろうけども、往々にして「場違い」な人間および存在でもある自分を生かすためでもあるこの本屋を、どうにかして続けていく。


