プールに降る雨 "ボヴァリー夫人" 2026年9月25日

ボヴァリー夫人
ボヴァリー夫人
フローベール,
太田浩一
蓮實重彥のボヴァリー夫人論を読みたかったので再読。 前回はたぶん岩波文庫。そのときはメロドラマ的な話が長々と書かれたこの小説がなぜ文学史上の傑作とされているのかよくわからなかった記憶。 今回読んで、あたらしい訳のおかげもあってか、現代でもぜんぜん通じる内容、つまり、制度上の「女性」を強いられた女性の物語なのだと気づいた。ボヴァリー夫人(エマ)がTwitterをやったら夫の悪口をめちゃくちゃ書いて男女論で盛り上がってそう。 それと、19世紀の小説なのにじつに映画的。特にフローベールが力を入れて書いたという共進会の章の、群衆が集まる祝祭的な空間と個人的な秘めごとを対比させ、さらにふたつの場面を早いテンポでカットを切り替えるように描いて効果を上げていく技法にはおどろいた。 とはいえ全体的にいえば、いまとは時間の流れかたが異なる百年以上前の作品なりの長さは感じた。当時、エマに感情移入して胸と目頭を熱くさせた読者もいるのかもしれない。
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