
パルミアから納税
@palmiatax
2026年9月26日

儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)
米澤穂信
読み終わった
作中で何度も言及されつつも、様々な要因で参加することができない人たちが描かれるバベルの会の読書会。(自分の意志で参加しなかった人もいたが)「ああ、参加できないなんて可哀想だな」という感想を抱きながら読んでいたが、最終章で一気に印象を反転させ、「彼女たちが読書会に参加していなくてよかった」と感じさせる構成が見事だった。
特に気に入った作品が「北の館の罪人」と「玉野五十鈴の誉れ」の二作品。
「北の館の罪人」で犯行動機として語られた三つ目の理由が印象的で、金や地位よりも自分の大切なものを優先した人物に対する妬みの混じった殺意は、同著者の「ボトルネック」のイチョウの木を話を思い出した。
「玉野五十鈴の誉れ」は、落ち着きがあり一見何でもできるように見える五十鈴が料理を苦手としていたり、表情豊かであることが魅力的だった。はっきりと五十鈴が犯人であると描かれていない余白を残すような終わり方だったことも好ましかった。
一つ残念だったのは、「アミルスタン羊」という言葉を知らなかったためGoogle検索をしてネタバレを踏んでしまったこと。AI検索モードが具体的にそれがなにを指し示しているか答えてくれたため、読み進めるうちにその正体に気づいていくという楽しみ方ができなかったことが心残りだ。
