りなっこ "時計職人の娘 下" 2026年9月25日

りなっこ
りなっこ
@rinakko
2026年9月25日
時計職人の娘 下
時計職人の娘 下
ケイト・モートン,
務台夏子
とてもよかった。何かが憑いているような特別な家に、幾つもの夏が訪れる。その場所は、時に誰かを恐怖から守り、他の誰かには普遍的な愛と安定感を与え、時に童話の世界の地図にもなった。事の始まりは1862年の夏、ひとりの死とひとりの失踪だ。 2017年の文書保管員エロディのパートから、その切妻屋根の家に魅かれ、帰属感を覚えた登場人物たちが、過去の謎をめぐりつつ時を超えて綾に結ぼれていく様に感嘆した。途中で「この人はあの人ね」と気が付いて、其々の繋がりが見えてくる感覚にはわくわくした。 良かれと思ってしたことが取り返しのつかない過ちになったとき、その人は罪悪感とともに残りの時間を生きることになるけれど、そんな人物に寄りそう眼差しに、これぞケイト・モートンの真骨頂だ…と思う。物語の中心は “時計職人の娘” でありバーチウッド領主館であり、その二つがひとつに重なるラストで胸がいっぱいになった。
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