Jis
@monjis_3
2026年9月27日
万物の黎明
デヴィッド・グレーバー,
デヴィッド・ウェングロウ,
酒井隆史
読み終わった
長い。正直難しくて読み飛ばして分からない点も多かった。
だが、非常に面白かった。
知らない、分からないということを理解していないということに気づいていないことに気付かさせてくれるのが読書のいいところだと思う。そんな本。
エドガーブレグマンのヒューマンカインドと同じような感覚にさせてくれた。
人間はストーリーに弱いというか、無意識にストーリーを求めている。今まで散々そういった社会心理学の本などを読んでそうだと思っていたが、やはり、それでもまだまだ自分は物語を信じている気づかされた。
ホモ・サピエンスや、銃・病原菌・鉄を読んで、めちゃくちゃ面白いと思っていたし、人類史がわかった気がした。
でもそれは、ホッブスやルソーの思想の焼き直しでしかないし、近代人類が信仰してきた思想に沿ったストーリーでしかなかったのかもしれない。人間は凶暴で残忍といった負の側面を強調するほうが魅力的で、商業的に安易に成功するのだろう。
人間的にはネガティブバイアスがあり、そういった情報を求める、そのためどんどん供給される、やっぱり人間ってこういう生物だよねっといった感覚が増長されていく。これが、閉塞していく理由の一つではないかと個人的には感じている。この本は、人類史の客観的評価から、必ずしも、肥大化する人間社会がこういった閉塞感とセットである確証はないということを伝えてくれる意味で希望の書なのだろう。もちろん、そういった負の側面が、ないとは言わないし、人間はこうだという断定があるわけではない。でも、もっと色々な可能性があるという示唆を与えてくれる意味で、船着き場であり、出発点なのだろう。
この本に出てくる言葉ではないが、イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの「民主主義は最悪の政治形態である。ただし、これまでに試みられてきた他のすべての政治形態を除けば」という言葉が頭に浮かんでいた。
自分はこれはうまい言葉だし、そのとおりだなと何十年も思っていた。けれど、こういった思想がそもそも歪んだ人類史感を表しているのではないかと感じた。
万物の黎明を読んだ人に対しては、そんなことはないかもしれないし、少なくとも現在の民主主義よりよい政治形態はいくらでも作り出せるはずと思わせてくれるのではないだろうか。その意味でこの本は希望の書と言えると思う。
