ノエラプトル "若きウェルテルの悩み" 2025年3月3日

若きウェルテルの悩み
若きウェルテルの悩み
ゲーテ,
酒寄進一
正直難しく感じる箇所も多くて、もっと文学や宗教が分かるようになってから再度読み返したいとも思うが、ともあれ結末に衝撃を受けた。 訳者解説によると、発表された当時、若い読者から自死する人が出るほどの反響だったとか。 想い人・ロッテや、まわりの人々、社会に対する、ウェルテルの苦悩、葛藤、絶望が、彼の書く手紙を通してじわじわと伝わってくる。 絶対に結ばれることがないと分かっている相手を、それでも「この人しかいない」と深く愛し、苦しみ続けるウェルテルの恋心を思うと、胸がじくじくと痛む。 特に、ロッテの婚約者・アルベルトと口論する場面のウェルテルの言葉がすごく印象に残っている。曰く、 病気に侵されて気力を失い、体が言うことを聞かず、自力でも立てず、一縷の望みにかけても元気になれないとき、それを死に至る病と呼ぶ。それと同じく人間の精神だって、いろいろな印象や観念に取り憑かれ、熱情が湧き上がると、冷静に考える力を奪い去り、自身を破滅に追い込むことがあると。 手紙を読み進めるにつれ、ウェルテルの直情的で激しすぎる恋心も、彼自身をじわじわと精神的に追い詰めていったことが分かる。 自死を選んでしまう人の心情が、皆こんな感じだとは言い切れないかもしれないが、不安定で危うく、繊細な人間であるがゆえの選択なのだろうか。
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