
ノエラプトル
@Di_Noel02
2024年6月24日

デーミアン
ヘッセ,
酒寄進一
読み終わった
守護神のような、導き手のような存在のデーミアンと出会い、自己に深く深く分け入る、孤独な道を進んでいくシンクレア。独りを恐れて酒に溺れ、自堕落な共同体に入り浸る日々も。「迸り出る自分の思いそのままに生きようとしただけなのに、なんでそれがこうも難しかったんだろう」という言葉がグサッと刺さった。
しかし人は孤独であると同時に、その孤独は自分だけが味わうものではないのだと思えた。シンクレアがデーミアンやピストーリウス、エヴァ夫人たち「しるし」を持つ者と出会い、自分自身に辿り着くための孤独な道のりを共有し合うその中に、自分も夢中になって入った。“同志”は100年以上も前の本の中にもいたんだと思うと、胸が熱くなる。孤独は悪いことではない、自分の夢や運命を見つけるための大切な時間なのだ。
そして、デーミアンやエヴァ夫人の澱みない言葉の数々が、頁をすり抜けて自分の心の中に吸収されていくような感覚がした。何回読んでも、自分探しの旅のヒントをきっと何度も教えてくれるに違いない。