KOISHI "月と六ペンス" 2026年6月10日

KOISHI
KOISHI
@palace
2026年6月10日
月と六ペンス
月と六ペンス
サマセット・モーム,
William Somerset Maugham,
金原瑞人
人間の本質は愛であると思う。愛を離れた美、それは不自然なことであると思うし、恐怖も感じる。愛を離れ、美のみを追求することに果たして意味があるのだろうかと考えさせられた。主人公の生き方は、生活を離れていると思う。生活を離れた生き方は、結局依存的である。実際主人公は何度も他人に助けられ生きている。そしてそのことに無自覚なのか無関心なのか意に介さない。そうして芸術を突き詰めている姿は、私には、何か目を背けたい直視できないものからの逃避に映る。自分が作り出した芸術の無意味さを俺は知っているのだとでも言うように、自分の死後は全て処分するように指示して亡くなる。他人の嘘や自我に敏感で否定的でありながら、自らの自我には開き直りが見える。他人に否定的な人間は、自分にも同様に否定的であるはずだから、自己肯定できなかったこと、それによって苦しんだことは確かだろう。その穴埋めを、形だけの芸術、美の追求に求めてもそこに救いは無い。自分を肯定し生き方そのものをぶつけるのが芸術だと思う。そういうものが心を揺さぶる芸術であるとも思う。
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