
ペンアブ
@ddd_kool966
2026年9月27日
杉森くんを殺すには
おさつ,
長谷川 まりる
読み終わった
いや〜〜〜〜〜なるほど。非常にコメントが難しいが、嫌いな小説ではない。むしろ私としては支持したいタイプの本だ。
確かに児童書としてはデリケートなテーマを扱っているので、始めの注意書きや解説が出てくる意味はわかった。
うーん。なんと言えばいいかな。
まあ率直に言えばシンプルにラブコメとしても楽しんでしまったし、「面白い小説を読んだなー」という一言に尽きるのだが、しかしそれだけでは終わらせない明るさと暗さを、この作品は持っている。
小説ではよく『他者への依存』というものが称揚される。愛とか友情とか、そういうのだ。
逆に「依存ってよくないよね」というスタンスのものもある。
愛や友情などを始めとして、人間は様々な側面で他人に寄りかかる。
本書はどちらかといえば後者の、依存ってよくないよねという話題について語っているのだが、しかし「依存している奴にもそれなりの事情があるよね。仮にそこから問題が発生しても当人だけの問題ではないのでは?」
という問いが物語の中でなされている。
だからこそ作中では、頼れる人、逃げられる場所を増やそうというエクスキューズが用意されているわけだ。
なるほど。正しい。
無闇に全てを肯定するつもりもないが、それでも概ねは正しいことを言ってるはずだ。
ただ、それは主人公である広瀬が達成できたことであって、『杉森くん』に届いた言葉ではないよなと、思ってしまう。
こういう物語をひとつの作品として消費しながらも、杉森くんの方にも感情移入をしてしまう。
しかし、ここで立ち止まってみて気付いたのだが、もしかして主人公の広瀬も依存から抜け出せていないのではないか?
広瀬は「依存先を増やす」という答えを選んだだけで、「依存をやめる」と決めたわけではない。広瀬自身も死後に生まれた架空の杉森のことばかり考えて、寄りかかっている。
たぶん、この作品を未読の人は、私が何を言ってるのか理解できないだろう。
すべては私の独り言にしかなっていない。凄い恥ずかしい。
上手く考えが纏まった気はしないが、自分の中で落とし所のようなものを見つけられたと感じる。
改めて良い作品であり、同時に業の深い話だなと思う。
一方で純粋にジュブナイルとしても楽しめる構成にもなっているので、とても技巧的な手付きだ。
特に塩野さんと良子さんのエピソードなんかは、個人的に思うところもあり印象に残っている。
軽い気持ちで他人に勧めるのは難しいが、普段とは違う読者体験ができた一冊だ。
