Yamada Keisuke "子どもかんさつ帖" 2026年9月28日

Yamada Keisuke
Yamada Keisuke
@afro108
2026年9月28日
子どもかんさつ帖
 『ikuzine』きっかけで本屋B&Bの選書企画に呼んでいただいた。先日、滝口悠生さんと前田エマさんのトークイベントに足を運んだ際、その選書企画の一環として置かれていた「誰でも書けるノート」を読むと、そこには、男性として育児をすることについての著者の長文コメントが載っていて興味深く読んだ。それをきっかけに購入したのだった。タイトルどおり「かんさつ」を通じた、子どもへのやさしい眼差しが感じられる一冊だった。  本著は、著者の子どもが0歳11ヶ月から3歳7ヶ月になるまでの様子を観察した記録と、その記録をもとにしたエッセイで構成されている。観察記録=発育記録となるわけだが、冒頭に発育に関するエクスキューズがちゃんと付いていた。  「何歳で何ができるのか?」は子どもによって千差万別である。3歳くらいまでは横並びの感覚が強く、他の子ができて我が子にできないことが気にかかっていた。ただ、3歳を過ぎたあたりから、保育園や習い事の同級生の間で明確な個体差があることを感じるようになり「発育速度は個人によって異なる」ということを認識できるようになった。本著で紹介されている内容も、その個体差のバリエーションの一つであり、同じ年齢だった頃の我が子を思い出し、比べながら読んでいた。  改めて感じたのは、子どもは世界を学んでいる最中だということだ。4歳でもうすぐ5歳になろうとする我が子は、基本的なことは自分でできるし、言葉も達者になった。それゆえ、大人ができる当たり前のことでグズついている様子をみると、ストレスを感じてしまう。しかし、冷静に考えてみると、まだ4年しか生きていのだから、できないことが当然ある。大人はそこを観察し、汲み取りながら成長を見守っていく必要がある。本著を読んで、こういったアプローチが必要なのだと気づかされた。著者が育てながら少しずつ理解を深めていく流れとして記録されているからこそ、追体験として腑に落ちやすかった。  なかでも一番グッときたのは、「目に見えないものを理解していく」というエッセイ。著者の子どもが愛情を水に例えて、自身の感情の微妙な揺らぎを両親に伝えるエピソードで、子どもとは到底思えないほど、的確で繊細な表現に驚かされた。抽象的な内容を具体物に変化させて、親と子で相互理解していく過程自体が楽しいということは育児でよくあることだ。ただ、こうやって言葉にしてくれるからこそ、日常で流れていく、ささやかな気づきについて振り返る機会をもらえるので、他者が育児する様子は定期的に読んでいきたいなと思う。
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