鱗拾い "世界99 下" 2026年9月27日

鱗拾い
@urokohiroi
2026年9月27日
世界99 下
世界99 下
村田沙耶香
内容に言及する以上潔白ではいられないが、開示範囲によっては「世界:Reads」での「キャラ」ひいてはこのアカウントの存続に関わるので非常に感想が書きづらい。 上巻36ページ、「強制的に可愛い生き物」のくだりから、子供、という概念を連想するまでの速さ、直結さ、が鱗(投稿者)の歪みなのだが、 この家の本当の子供である当の空子が、親から見れば自分も「強制的に可愛い生き物」であることを利用し母親を搾取していると独白して憚らないので、本当にグロい気分にさせられる。 自分ではない子供に「強制」を感じたことはあっても「搾取」を感じたことはないが、子供として生まれた自分を思うとき、そこに「搾取」がなかったかと言われると返答に困る。 少なくともある時期のうちの親はいつも疲れていた。 20歳の空子は、そういう自分の加害者性について「自分のおぞましさがいつか罪に問われる」という予感を抱き、 35歳の空子は、自分の加害者性に気づいていない明人を見て「かわいそうだなあ」「なんだか大変そう」と冷笑する。(まあ本人の感情としては笑いじゃなくて無なんだろうけど) そんな空子が49歳になって、 「私は性欲のおぞましさの被害者なのだから、おぞましくない。少し前まで、そう単純に思えていた。」 と言うのだから、全てのカテゴライズで自分の加害者性を自覚しきることなんて無理なんだろうなと思う。 音ちゃんの「一種類の差別をされているだけで、まるで自分が他の種類の差別をまったくしていないような気持ちになれませんか?」が端的に表している。 読書を例に取るなら、自分がしないようにしていたり、むしろされている側だと思う差別についての本はまだ読めるけど、この本みたいにありとあらゆる差別を扱っていて、自分がノーマークだったり無関心でいられているところを突かれる本だと読み心地が悪いみたいな、この話やめよっか?? せめて自覚しきれてないという自覚は持っておきたい。 空子の場合は一度「クリーンな人」になったので、自覚していたものまで忘れてしまったのかもしれない。 忘れるのは「楽そうだなあ」と思う。 ——なるべく冷笑っぽく言っておくことで、自分がそうなることから距離を取りたいという小細工。 他山の石ということにしておいてほしい。
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