
はな
@hana-hitsuji05
2026年9月29日

マリはすてきじゃない魔女
柚木麻子
読み終わった
Kindle Unlimited
Kindle
ついに読み終わってしまった…
なぜかピンと来て前情報0で観たレイトショーが、思いのほかど真ん中過ぎて、映画館を出た後も頭の中が余韻で充満している時と同じ状態。
第8章 きょうはみんなの記念日
自分の家族がどんなにすごい能力を持っていたとしても、今はみんなの役に立たなくていいからのびのびしていてほしいと思うグウェンダリンママとユキさんママ。
子どもはこんな風に大切にされて育っていくべきだなとつくづく思う。
「たったひとりでいちばんにならなくていいのかも」
グウェンダリンママは、好きじゃない仕事をしていたんじゃなくて、義務や責任の重さで楽しめなくなっていただけなのかも。
責任感って無いのは良くない感じがするけど、真面目な人はそれをより多く背負ってしまう。
「タコスの包みをお客さんにわたすユキさんはこの二週間で、すっかりおばさん魔女になりました。ほおに刻まれたシワやたるみや首のシワに、ユキさんは毎朝、鏡でうっとり見とれています。自分ってなんて美しいのでしょう」
ユキさんやモモおばあさまが若々しかったのは、自分の未熟だと思う部分に対して自信がなかったからなのか。
ユキさんみたいに、自分のことをどこか一部でもいいから「自分ってなんて美しいのでしょう」と思ってみたい。
美しさと醜さって一体なんだろうな。
スジもレイもマリも、相手に対してシンプルに正直者。なのに誰も傷ついていないこの関係を羨ましく思う。
何でも思ったことを言っていいわけじゃ無いけど、感じたことを「これを言ったら相手はどう思うのかな」なんて心配せずに伝え合える人間関係がほしい。
「モモおばあさまはむかしからほんとうはずっとこう願ってきたのです。自分よりもっと若いあとの世代の女の子が、もっと自由に、もっと気楽に生きられるそんな世界になりますように、と」
レイの願いも叶った。
それは、レイの孤高の心が魔法みたいに届いた証だ。
私も、私が子どもの頃や働き出したばかりの若い頃にショックを受けたり、道を閉ざされたり、傷ついてきたことが、私より若い人や子どもたちに繰り返されたり継承されないように世界が変わっていけることを強く願っている。
最後の文章を読み終えて、ホーッと息をつく。
作者の後書きは映画のエンドロールの最後のおまけ映像みたいでニッコリしてしまった。
「空は飛べなくても、なにをすると自分の心が大きくふくらむのか、それをわかっている人は、いつか、とても大きな魔法を使えるはずですから」
ああああ、誰かの心のことばかり考えるのではなくて、圧倒的に自分と向き合う必要がいつもある。
好きな色が数年おきに変化していくことや、ヒールのある靴が大好きだったのに、今はそうでもないこと、10年先のことを考えなさいと言われてボンヤリしてしまったあの日のことなど。
自分自身もいつのまにか移り変わって行くのだから、その時々の自分が今は何が好きなのか、どんなことを素敵じゃないと考えてきたのか、ちゃんと話し合ってわかっていたいなと思う。
ほんと、まさかこんなに素敵な本だったとは!
しかも2023年クリスマスに発行されてるの見て、ブックサンタの本になるために生まれてきたんか!と呟いてしまった。
追記:グウェンダリンやスジの名前の響きが変わっているな〜と思って調べてみたら、グウェンダリンはイギリス・ウェールズに由来する名前でヒットして、その意味は「白く輝く輪」や「白い眉(の美しい人)」で、愛称はウェンディ!(じゃあピーターパンに出てくる女の子もグウェンダリンって本名かもしれないのか!)
マデリンの語源はマグダラ、スジは韓国語で秀でていて賢いみたいな知性を感じさせる言葉だった。
作者がそういうニュアンスを込めたかはわからないけど、勝手にキャラクターとイメージの一致に楽しくなってる。特にマデリン。
だとしたら、マリは真理って意味かな。





