ろし@読むの遅い "ROCA コンプリート" 2026年9月30日

ROCA コンプリート
ROCA コンプリート
いしいひさいち
〝いしいひさいちのストーリー漫画〟と聞いてにわかに信じられない世代は存在する。ソースはもちろんワタシ。 じつはこれに先行して単行本(ストーリーライブ)が発行されたのだが、初見の方には現状の完全版であるコチラをご紹介しておきたい。 港町の女子高生である吉川ロカと〝万年〟女子高生の柴島美乃(きっかわ・ろか&くにじま・みの:どっちも苗字読めない)が織りなすバディ・ストーリー。表紙からも予想できるとおり歌手を目指す少女の物語なのだが、ロカが歌うのはなんと「ファド」(たしかポルトガルの民謡?)である。 やはり基本はギャグ漫画なので、初期のストリートライブからデビュー決定後の顔見せ巡業にいたるまでズッコケの連発。ちょっぴり男前タイプの相棒(というより保護者)美乃が本筋と並行していい味の小ネタをかましてくる。 およそウェット要素皆無の快活エピソード集という体裁を保ちながら、要所と終局ではしっかり田舎少女が直面する社会の厳しさも見せ、勢いでページをめくり続けてきた読み手をふいに立ち止まらせる。 「初め面白うてやがて哀しき」を地でゆくストーリーだが、日本ではマイナーな音楽分野で奇跡の才能を見出された平凡な少女の傷心にココロを裂かれてしまった読者は多いのではないか。 たった一度でもこの世界に自分の居場所を探したことがある者の胸には、ロカの歌声が真っ直ぐに刺さってくるはずだ。
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